ふれ愛葬

エンバーマーインタビュー

エンバーミングを実際に行うエンバーマーに話を聞きました

エンバーミング施術を行う専門家をエンバーマーと呼びます。医学や解剖学、微生物学などを学びさらに葬儀の知識も必要となるエンバーマー。欧米ではドクターと同じように大学でライセンスを取得し、国家試験や州の試験に合格することで得られるライセンスです。日本では現在2校のエンバーマー養成カレッジがあり、エンバーマーの教育養成を行い、厚生労働省の管轄の下、IFSAがライセンスを発行しております。今回はそのエンバーマーにインタビューをしてみました。

エンバーマーになったきっかけを教えて下さい

まずエンバーミングをどこで知ったのか、またエンバーマーになろうと思ったきっかけを教えて下さい。

スーパーバイザー 森 壮太郎(広島センター勤務)
 エンバーミングとの出会いは、臨床検査技師になるために病院の病理検査室で実習をしている時でした。
解剖後、外国人の女性が解剖室に入ってきました。何をするのかと尋ねると、防腐処置をして縫合するといいました。その時、このような施術をエンバーミングと言い、自分はエンバーマーのライセンスを持っていると説明されました。今まで、解剖してから修復するなど、考えてもいませんでした。
 その後、エンバーミングについて調べ、とても魅力のある仕事だと思い、やってみたいと思いましたが、日本ではエンバーミング自体が知られておらず、また職業としても確立していない、技術を学ぶところも少ないと諦めていました。
 しかし、どうしてもエンバーマーになりたくて、留学をしてライセンスを取得しようと思っていたところ、JECで日本人のエンバーマーを育てるというお話を頂き、入社させていただきました。

日本でのエンバーミングの現状を教えて下さい

日本では火葬がほとんどのため、エンバーミングはいらないと言う方もいらっしゃいますが、実際にエンバーミングをする立場から、日本でのエンバーミングの現状を教えて下さい。

 日本でのエンバーミングは、死亡者数に対して、1%強ぐらいしか処置ができていないのが現状です。エンバーマーの人数がたりないのと、エンバーミング処置ができる施設が少なく、普及が遅れています。
 日本では火葬がほとんどのため、必要ないという方もいらっしゃいますが、核家族化が進み親族が近くに いない、または海外にいるなど、様々な要因で火葬を待たなくてはならない場合があります。また、大都市では火葬場がいっぱいで、日にちが長くかかることもあります。
 亡くなる方のすべてが、安らかに亡くなるとも限りません。
お別れの際にエンバーミングを施すことで、亡くなられた方の顔をみることや、お体に触れることによって、亡くなられた周囲の方の、心のケアにつなげられたらと思っています。

今、興味を持っていることや勉強していることは

プライベートなことでも構いませんので、今、興味を持っていることや勉強していることがあったら教えて下さい。

 現在エンバーミングで使用する機器は、ほぼ輸入に頼っています。日本製でさらに良いものを調達できるよう、さまざまなメーカーをあたっています。外国製では、不具合が起こった際の安定供給に難があります。日本製のエンバーミングの装置ができれば、もっとエンバーミングを普及させることができると思っています。

「この仕事をしていてよかった」と思う瞬間は

裏方の仕事で、なかなかお客様と直接話をする機会はないと思いますが、今までの経験の中で「この仕事をしていてよかった」と思う瞬間があれば教えて下さい。

 エンバーミングをする際に、葬儀担当者とのコミュニケーションを重視し、故人様の人となりや歩みなどをなるべく詳しく聞いて、生前のお姿を思い起こして頂けるよう心掛けています。
 お客様と直接お話する機会は少ないのですが、葬儀担当者などからお客様の感想を伝えてもらい、自分のエンバーミングの結果はしっかりとわかるようにしています。
 お客様から直接お礼を言いたいとのお話をいただくこともあり、葬祭会館に出かけることもあります。大切な方を亡くされたお客様の心を少しでも癒すことができたことを実感できた時、この仕事をしていてよかったと思います。